産卵後の旺盛な食欲を満たしたハモは、 上品で豊かな味わいに磨きがかかる
ハモは魚偏に“豊”という文字の通り、上品で豊かな味わいが楽しめる魚。一般的には夏の印象が強く、主に活魚で京都・大阪など関西方面へ出荷されていますが、大分県の漁業者の一押しは、秋の“落ちハモ”です。秋の“落ちハモ”は、夏の産卵後の旺盛な食欲を満たし、たっぷりと身が肥えて脂がのり、非常に美味です。また、晩秋頃になると体表が金色を帯び、見た目にもとても美しくなります。
大分県には、山国川や八坂川、番匠川など、山からの栄養を運ぶ川が多く存在します(大分県の一・二級河川の長さは九州で一番)。海へと流れ込んだ栄養分によりプランクトンが増え、それらの豊富なエサを食べて脂がのったハモに成長します。
大分県は全国有数のハモの好漁場〈主に豊前海(中津から佐伯まで)〉を有していますが、とりわけ有名なのは中津のハモ料理です。江戸時代には、中津の魚屋の軒下にハモがずらりと並べられ、大変な賑わいでした。かつて値段の安い大衆魚であったハモは、中津の家庭では一般的に「ハモちり」にして食べられていました。近年のハモ料理は、湯引きや刺身だけでなく、天ぷら、吸い物、茶碗蒸し、しゃぶしゃぶ、酢の物、ハモ寿司、照焼きなど、たくさんの種類があります。
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