ほどよい歯ごたえの白身は、どんな料理にもぴったり。
大阪の漁師がおすすめする、大阪湾の冬の味覚
古くから「茅渟(チヌ)の海」と呼ばれ、好漁場として多くの魚介類が漁獲されてきた大阪湾。「茅渟の海」の由来はいくつかあり、一つは初代天皇である神武天皇の皇兄「彦五(ひこいつ)瀬(せの)命(みこと)」が戦傷を受け、その血がこの海に流れ、「血(ち)沼(ぬ)」から由来するといわれています。また、瀬戸内海から大阪湾一帯をを支配していた神様「珍彦(ちぬひこ)」<別名:神知津彦(かみしりつひこの)命(みこと)」とも、椎根津彦(しいねづひこの)命(みこと)>から由来しているともいわれています。この「茅渟の海」で獲れる代表的な魚がクロダイだったことから、チヌとも呼ばれるようになりました。
クロダイはマダイに比べて胸ビレが大きく、口が突き出ているのが特徴。護壁の壁面に静止し、付着生物をついばんで食べます。春から秋にかけては水深1mほどの浅場に大型がいることも。性転換する魚として有名で、1~2歳はオスで、3歳になるとメスが現れ、その後は雌雄半数ずつになります。マダイと比べ少し値段は安いですが、冬場に旬を迎えたクロダイはマダイにも勝るとも劣らない、大変おいしい漁師おすすめの魚です。大阪の商人は昔から縁起を担ぎ、正月の睨み鯛には赤地(字)のマダイではなく、1年間の黒字を願ってクロダイを使ったといわれています。
脂の乗った冬場のクロダイは、白身でほどよい歯ごたえが魅力。淡白な身は和洋中どんな料理でもぴったり。刺身や洗いのほか、塩焼きや中華風蒸し物、ムニエルにしても絶品です。
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