美しい白身を堪能できる刺身はもちろん、
ちくわや「だし」として味わうコク深い旨味も絶品
島根の美しい海と多種多様な魚介類を代表する魚種として、県魚に選ばれているトビウオ。県民には「夏を告げる魚」として親しまれています。トビウオとは、ダツ目トビウオ科に属する魚の総称で、日本国内で確認されているものは約30種類。島根県では、「ホソトビウオ」と「ツクシトビウオ」の2種類が漁獲されます。特徴は、その名の通り翼のような胸ビレで水面から飛び上がること。最長では、なんと500mも滑空することがあると言われています。
5~6月にかけて南方の海から日本海へやってきたトビウオたちが、島根の海に来遊するのは6月から8月頃。産卵のため体に栄養を蓄えるこのシーズンが、最高の旬と言えるでしょう。孵化した稚魚はしばらく日本海で過ごし、秋になると東シナ海に南下していきます。その後、翌年再び日本海へ産卵に帰ってくる、いわゆる1年魚(寿命が1年の魚)です。
トビウオが島根の魚屋に多く並ぶのは、6~7月頃がピーク。獲れたてを刺身や焼き魚でいただきます。上品な白身は、その身の美しさから、お頭を飾り付けた姿造りにされることもあります。加工品も数多く、島根県ではトビウオのすり身を大きなちくわに仕立てて香ばしく焼き上げる「あご野焼」(「あご」は、トビウオの別名)が有名で、古くから出雲地方の名産品となっています。また、煮干加工した「あごだし」は、そのままあるいは粉末にして料理のだしをとるのに使われ、近年人気が上昇中。未成魚を使用する県もありますが、島根県のあごだしは贅沢に成魚を使っているため味は保証付きです。その他にも燻製など多様な加工品が開発されています。
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