刺身から唐揚げやピザまで、
さまざまな味で県民に愛される夏の魚
大きくても全長10cmほどで、ニシン科の中でもスマートな身体を持つキビナゴ。体は美しい銀色で、中央には色鮮やかな青色の帯模様が走っています。その見た目から、鹿児島県南部の方言で「帯(キビ)」の「小魚(ナゴ)」という名前がついたと言われています。
性格はとても臆病で、産卵前後の夜は港内の街灯の下に集まりますが、人影が動くとすぐに沖に逃げてしまうほど。綺麗な水の中でしか生きていけず、1秒でも水の外に出すと死んでしまうため水族館で長期飼育できた例がないと言われる、デリケートな魚です。
鹿児島県はキビナゴを市場に流通させている数少ない地域のひとつ。県内に広く分布して生息しているので、さまざまな場所で盛んに漁獲されています。鹿児島県では郷土料理には欠かせない魚。県が選定する「かごしま旬のさかな(夏)」にも選ばれています。
魚釣りの餌としても利用されてきたキビナゴですが、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を多く含むことから、近年は健康食品としても人気を高めています。身が柔らかく手で開いて簡単に刺身を作ることができ、鹿児島では手開きした刺身を菊の花にかたどって並べる「菊花造り」が有名です。また、調理が簡単で用途も幅広いため加工商品も多く存在し、お土産品としても人気があります。鹿児島県では古くから愛され、郷土料理には欠かせない魚です。
※クリックして拡大