「福が来る魚」として人気の出世魚。
さまざまな調理法で楽しめる味は、食欲の秋にぴったり
富山県では最もポピュラーな魚のひとつとして知られるフクラギですが、県外だとあまりなじみのない呼び方かもしれません。フクラギとは、生後7~8か月の体長30~40cm、体重500g~1.0kgに成長したブリの幼魚のこと。ブリは出世魚として知られていますが、地方により呼び方が異なり、富山では「コヅクラ」「フクラギ」「ガンド」「ブリ」の順に成長します。「フクラギ」は関東圏では「イナダ」、関西圏では「ツバス」と呼ばれています。「フクラギ」という名前は大漁で港がにぎわい「福が来る魚」と呼ばれたことが由来とされており、漢字では「福来魚」と書きます。出世魚であることに加え、この漢字の縁起の良さ、さらに値段も手ごろであることから、富山県民にとても親しまれています。
フクラギはブリのシーズンより一足早い10~11月に盛漁期を迎えます。脂のバランスがよくさっぱりとして癖のない味わいは、刺身はもちろん塩焼き、生姜煮の他、開き干し、糠漬けにしても美味。秋が深まり食欲が一層刺激されるころ、新米のおかずに、お酒のお供に。食べ物にうるさい富山県民の舌と心をつかんで離さない、自慢の魚です。
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