プリッとした心地よい弾力と、トロけるような甘み。
刺身でも、豪快に直焼きしても贅沢な味が楽しめる
たくさんの川からは栄養が豊富に流れ込み、沖合からは黒潮が餌となる生命を運んでくる熊野灘。そんな恵みの海にある、浅い岩礁域が伊勢えびの棲家です。夜行性のため昼間は岩かげなどにひっそりと潜み、ウニや貝を餌として育ち、大きくなると体長は30cmにも及びます。
その引き締まった身は透き通るように美しく、プリプリの食感。味わいは濃厚で、舌の上でトロリと溶けるよう。喉を過ぎても心地よい余韻が残ります。刺身だけでなく、強火で豪快に直焼きするのもまた美味。白い煙とともに立ち上る香りが食欲をそそります。熱々の白い身を頬ばると、ブリッと弾ける歯ごたえと、ジューシーな旨味を堪能することができます。
県内では、伊勢えびにまつわるイベントも盛ん。「伊勢えびの町」をうたっている志摩市浜島町で毎年6月に開催されている「伊勢えび祭り」は、なんと1961年から続く長寿イベントです。また、志摩市和具では若手漁業者を中心に、全国でも珍しい「伊勢海老刺し網オーナー制度」を実施、1口15,000円(平成26年現在)で誰でもオーナー網元になることができ、漁を手伝ったり、網にかかった伊勢えびを山分けできる大人気のイベントとなっています。伊勢・鳥羽・志摩は観光地としても魅力にあふれた場所。“お伊勢さん”に参拝した後は温泉にゆっくり入り、地元ならではのおいしい伊勢えびを心ゆくまで味わってください。
三重ブランドストーリー「伊勢えび」
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地元の宝物は、人々の心で守り抜く。
大切な恵みだからこそ厳しい規制を設け、資源を保護
伊勢えびの水揚げ高で、全国1、2位を誇る三重県。古来から続く大切な海の恵みを守るため、厳しい規制を設けています。本来、伊勢えびの漁獲は通年可能ですが、三重県では県漁業調整規則により5月1日から9月30日(鳥羽市離島地域以北の海域においては、9月15日)までを禁漁とし、産卵期の保護を行っています。この規則は、他県より厳しいもの。また、頭から胴までの甲羅の長さが4.2cm以下のものは、網にかかっても放流する決まりとなっています。
さらに、年間2万匹にも及ぶ小さな伊勢えびを放流。漁師さんたちは、「自分たちの漁場は、自分たちで守る」という意識で、資源保護に取り組んでいます。その努力が、長期間に渡って変動の少ない、安定した漁獲量につながっているのです。平成23年の三重県の伊勢えび漁獲量は、213tで全国シェア19.0%(全国第1位)を占めており、生産額でも967百万円で全国第1位となっています(出典:漁業・養殖業生産統計年報)。
漁は主に「刺し網漁」が主流。伊勢えびが通る場所に網を張り、頭部を入り込ませて漁獲する方法です。網の色は、目が良い伊勢えびに唯一見えにくいと言われている赤色に。夕方から活動する習性に合わせて、暗くなる前に網を仕掛け、翌日未明に揚げます。伊勢えびは足が外れやすく、とても繊細。網は電動ローラーで引っ張りますが、海から揚がる瞬間は漁師さんが手を使い、丁寧にいたわりながら揚げます。そして浜で、専用の道具を用いて一匹一匹傷つけないよう、網から外します。伊勢えびを知り尽くした漁師ならではの熟練の技です。
直販事業を行う漁協では、「伊勢えび」の触角に、高品質の証として「三重ブランド」シンボルマークの入ったタグを装着。産地を明確に保証することで、消費者の方々に「安心」をお届けする取り組みを行っています。
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