鮮度のよいホヤの甘く爽やかな味わいは、まるで“海そのもの”。
独特の風味が特徴で、好む人を選ぶ上級者向けの珍味と思われがちな「ホヤ」。震災や輸出減の影響で、2019年度の生産量は全国2位となりましたが、消費量とも依然全国トップクラスを誇ります。また、ホヤ養殖の発祥(唐桑町)も宮城県であり、県を代表する海産物のひとつです。味の決め手は、“鮮度”。鮮度が良いものは甘みがあり爽やかな味わいで、海そのものを食べているかのようです。流通網と鮮度保持技術の発達で、広い範囲で鮮度の良いホヤを味わうことができるようになっています。
三陸沿岸以外では食材としての認知度が高くないホヤですが、実は美容と健康によい海産栄養品。100g当たり30kcalという低カロリーで、さらに豊富なビタミンとミネラルを含んでいます。特に食事での摂取が難しい亜鉛や、がんを抑制する効果が期待されるグリコーゲンやビタミンB12などを豊富に含み、体にうれしい海産物です。旬を迎える梅雨過ぎからは、冬に比べグリコーゲンが約8倍に増え、甘みと旨味が増していきます。
ホヤ食の歴史は古く、約1000年前の平安時代前期から愛されていたという記述も残っているほど。養殖は、約120年前、宮城県の唐桑村(現気仙沼市唐桑町)で始まりました。ホヤを表す漢字は、「海鞘」「保夜」「火屋」「老海鼠」「火焼」など豊富にあり、日本人にとって古くから親しまれてきた食材だということをうかがい知ることができます。
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