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千葉県

房総沖のマカジキ


旬:11月~2月

鮮やかなオレンジの身が絶品。
「全身が中トロ」ともいわれる高級魚

プライドストーリー

良質なサンマやサバを食べて育つ、晩秋のマカジキ。
しっとりと脂がのったきめ細やかな身は、刺身がおすすめです

 マカジキは、成長すると全長3m、重量は100kg以上にもなる大型のカジキ類です。体色は背中側が濃い青色、側面には水色の縞模様が十数本あり、上顎が細長く伸びて槍のように尖った「吻(ふん)」を持っているのが特徴です。吻の一突きは外敵に致命傷を与えるのに十分な威力で、振り回して餌となる魚を捕獲したり、大型のサメ類から身を守るのに活用しています。カジキ類は水中で最も速く泳ぐことができる動物としてギネスブックに登録されており、その速さは時速100kmにも達します。
 カジキ類のなかでも高級品として位置づけられるマカジキ。晩秋から初冬にかけて千葉県海域に南下してきます。一緒に回遊してくるサンマや脂ののったサバを餌としているため、脂ののりが良く身質は最高級。きれいなオレンジの身色が食欲をそそります。特に脂ののったマカジキは、なんと全身が中トロ。煮ても焼いてもおいしくいただけますが刺身にすると格別の味で、寿司だねとしても重宝されています。また、カジキの内臓を使った塩辛はお酒がすすむ珍味です。

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水揚げ漁港や漁法

港から100マイル離れた遠い漁場で長時間の操業。
苦労しながら漁獲されるマカジキは、まさに「海の男の贈り物」

 房総半島から伊豆諸島にかけての黒潮付近が主たる漁場です。遠いときは港から100マイル(161km)の沖で操業することもあります。主な漁法は「カジキ縄」と呼ばれる浮きはえ縄で行いますが、かつては「カジキの突棒(つきんぼ)」と言われる漁法も行われていました。「カジキの突棒(つきんぼ)」では、夏場になると三陸沖のカジキを狙って1~2ヶ月遠出し、見つけると船の先端に身を乗り出して銛(もり)で突きます。千葉県の一本釣り漁船の先端が細長く伸びているのは、この漁法の名残です。
 「カジキ縄」では、早朝に出港してからはじめに餌となるサバを沿岸で釣り、その後漁場に移動。漁場では操業船が1マイル間隔に並び、沖に向かって縄を張っていきます。その長さは15~20kmにも及ぶほど。張り終えると次は沖から岸に向かって縄を揚げていき、かかったカジキを取り上げます。港に戻るのは夜中になることもしばしば。凪の日が続くと、長時間の操業が続き過酷な日々となります。また漁場が遠いため時化の影響を受けやすいなど、小型船にとっては操業がつらい漁法の一つであるといえます。このような漁師の苦労を経て漁獲されるマカジキは、まさに「海の男の贈り物」。いつでもスーパーで手に入る食材ではありませんが、見つけたときはぜひおいしさを味わっていただきたい逸品です。

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