夏先に旬を迎える、ふっくら太ったアナゴ。
タレを焦がす「焼きアナゴ」の香りは岡山の夏の風物詩
梅雨明け真近になると、浜に揚がってくるアナゴの量が一年で最も多くなり、最もおいしい季節を迎えます。時期を同じくしてウナギもハモも旬を迎え、魚屋さんの店先によく似た「ニョロニョロ体型」の三人衆が並びます。姿はよく似ていても、それぞれの味や味わい方は彼らの特徴をよく生かした工夫がされていて、昔からのその地方の人々のこだわりと自慢があふれる魚たちです。
アナゴは、ハモやウナギと同じように、日本から遠く離れた南の海の深海まで遠い旅をして産卵します。生まれた稚魚は春先に、独特の透明な柳の葉っぱのような体で群れになって瀬戸内に帰って来て、イカナゴやイワシのシラス漁で沢山獲られてしまいます。
岡山では春の風物詩として、その稚魚を「べらた」と呼んで生で酢味噌をかけて食べます。初夏から真夏にかけて、アナゴの水揚げが増えるとともに、浜の直売所や、街の魚屋さんの店先で開きながら炭火で「焼きアナゴ」を焼き始めます。タレを焦がしながら焼くその香りは、昔も今も変わらず懐かしく、食欲をそそる思い出となって、どこに旅してもその香りに巡り合うと、故郷岡山の昔を思い出すソールフードとなっています。
※クリックして拡大