その発見は偶然!桜えび漁。
国内水揚げのほぼ100%が駿河湾産です
桜えび漁は現在の静岡県由比町にあたる今宿で始まりました。
明治27年、漁師の望月平七と渡辺忠兵衛は、いつも通りに鯵(あじ)の夜曳漁(よびきりょう)に向かったものの、網を浮かせるための「カンタ」という浮樽を積み忘れてしまいました。仕方なしにカンタなしで網をおろして漁をしていると、引き揚げた時にかかっていたのは一石(約150kg)の桜えび。浮きが無かったことで網がいつもより深い水深を曳かれたため、桜えびがたくさんかかったようです。従来から網に桜えびが紛れ込むこともあったものの、なぜかかるのかが分かっていなかったため、本格的な漁には発展していませんでした。この偶然の発見により、桜えびだけを効率的にとる漁法が出来上がったのです。その後、静岡県の駿河湾では桜えび漁が盛んになり、県の特産品となりました。
桜えびの春漁は3月中旬~6月初旬、秋漁は10月下旬~12月下旬で、それ以外の時期は桜えび保護のために休漁となります。桜えびは駿河湾のほかにも生息していますが、漁業許可を受けているのは日本では静岡のみ。桜えび漁の許可証をもつ船は、由比・蒲原・大井川地区の合計で60ヵ統(120隻)しかありません。そのため、国内の水揚げのほぼ100%が駿河湾産となります。
現在では、静岡県水産・海洋技術研究所等の指導のもと、漁業者自身による桜えびの産卵量や幼生(小型えび)の出現状況・水温等の環境調査を行い、その調査をもとに、関係者が協議し、保護区や漁獲量を定めるほか、漁期途中であっても、桜えびは成熟度が増すと、頭が黒く(頭黒)なることから、頭黒の桜えびが見られると漁を取りやめるなど、資源管理を行いながら漁を営んでいます。
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