厳しい基準をクリアした特別な「波乗り鰆」。
地元漁業者の熱い思いがブランド化へ導きました
サワラを漢字で書くと「鰆」。魚へんに春と書くため、「春の魚」をイメージされるのではないでしょうか。漁獲量の多い西日本では4~5月に産卵のために瀬戸内海へ集まり、その様子は「春告げ魚」として古くから愛されてきました。
一方、静岡県の遠州灘でサワラが水揚げされるのは11月ごろからカツオ、シラス、キンメダイ、イセエビに次ぐ南駿河湾漁協取り扱いの主要魚種です。古くから御前崎では、曳き縄漁業で漁獲された手鉤の痕が付いているサワラは「遠州の鈎(かぎ)鰆」、塩蔵品は「こもじお鰆」と呼ばれ親しまれてきました。冬場の脂の乗ったサワラは、刺身が絶品です。しかし、地元以外ではサワラが御前崎市場に水揚げされることや、刺身で食べられることはあまり知られておりませんでした。そこで、地元漁業者の「脂の乗った美味しいサワラをもっと知って欲しい」という強い思いから、ブランド化への取り組みが始まりました。
平成27年度に、御前崎市場に水揚げされるサワラをブランド化する活動を開始し、平成29年度には「波乗り鰆プロジェクト」を発足。プロジェクト構成員は、サワラ曳き縄漁業者(24名)と漁協、仲買業者、6次産業化専門家、市、県の6者です。「波乗り鰆」の品質向上・認知度向上を目指し、協議やPR活動などを行っています。
南駿河湾漁協では11月から本格的にサワラ漁が始まり、「御前崎港寒鰆」を出荷しています。その中でも厳しい条件をクリアした特別なサワラを、「波乗り鰆」ブランドロゴ入りのタグを付けて出荷します。
~条件~
①南駿河湾漁協所属の曳き縄一本釣りにて漁獲したもの
②船上にて高鮮度処理(活締め、脱血処理)したもの
③身割れを防ぐために立てた塩ビパイプ中に入れ海中での放血し氷中で保管したもの
④御前崎市場に出荷後、「2.5kgから4kgの重量」を満たし、魚体に傷がないもの
⑤漁協職員が脂肪計測機にて測定し「脂肪量10%」以上のもの
⑥11月から2月末までに水揚げされたもの
波乗り鰆は高鮮度かつ脂肪の量が多いため、お刺身での生食をおすすめしたい魚です。プロジェクト関係者の間で好評だったのが炙りタタキでした。サワラの皮自体は結構固めですが、炙ることで歯切れのよい食感と香ばしさも加わり大変美味しくなります。
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